2010.08.28(土)、29(日) 第5回クリアランスギャップ研究会記念学術集会開催(岡山コンベンションセンター)
クリアランスギャップ(CL-Gap)とは?
Urea kinetic modelから算出される標準化透析量:Kt/Vは、慢性維持透析患者の長期予後規定因子であることが広く認識されている。しかし、一方でKt/Vはシャント部再循環による低下や、体内不均一除去による過大評価の危険性が指摘されており、その取り扱いには注意が必要である。
そこで我々は、採血により得られたKt/V実測値をもとに推定される有効クリアランス(effective CL:eCL)と、ダイアライザー側のクリアランス理論値(theoritical CL:tCL)との格差を算出する手法(CL-Gap法)を開発した。
VA機能不全が認められない場合には、ダイアライザーから除去される尿素窒素のクリアランス値(tCL)と生体側に有効に働いたクリアランス値(eCL)はほぼ等しくなり、結果としてCL-Gapは0近くになることが予想される
これに対して、VA機能不全症例では、ダイアライザーから除去される尿素窒素のクリアランス値(tCL)に対して、生体側に有効に働いたクリアランス値(eCL)が低下することにより、CL-Gapは上昇することが予想される。
このように、本手法を用いることでVA機能不全に伴う透析効率低下要因ならびに体内不均一除去に伴うKt/V過大評価を評価することが可能となり、より良い透析医療の実現が可能となることが期待される。
クリアランスギャップ(CL-Gap)に関する資料について
小野淳一、他:常識 クリアランスから計算された標準化透析量、異論・論争 実測値をもとに得られる推定値と理論値の較差の検討. Clinical Engineering 18:154-160, 2007.
CL-Gapに関する記事が、透析百科に掲載されました。