第28回日本臨床工学会にて発表しました。

2018年5月26日(土)、28日(日)に横浜パシフィコ横浜にて開催されまし第28回日本臨床工学会に参加し、発表しました。

講演:研究のいろは の「研究倫理と研究デザイン」では、研究の意義と研究の進め方、そのなかで、クリニカルクエッションからリサーチクエッションを構築する方法、また、研究計画を立案し臨床研究を実施するために通り抜けないといけない関門である倫理委員会の役割や今年の4月に施行された「臨床研究法」について紹介させていただきました。本教育講演を聞きにきてくださる方々の研究経験等が不明な点と、研究デザイン等のあまり意識していない内容をしゃべるため、なるべく分かりやすく解説しようと考えました。今回のテーマは非常に私にとっても大変難しいテーマであり、発表前日までかなり苦労してスライド作成をしました。ただ、具体的な例を示しながら説明を行うところまでできなかったので、臨床研究を積極的に実践している方からするとやや物足りない発表だったかもしれません。この経験をいかし、さらに今回のスライドを作り込んでいこうと思います。

この教育講演が終わった直後に、ランチョンセミナーの座長をさせていただきました。新しいダイアライザーの基礎研究の成果をメーカー研究者が、臨床研究の成果を臨床工学技士の方から発表していただく形式で、教育講演で研究について話してきた私自身とっても勉強になりました。これまで、臨床現場での性能評価が中心であった医療機器に関する研究は、今後、臨床研究法の制定により、臨床研究にて実践することでしか解決できない重要な研究課題にのみ適応され、それ以外の研究は、基礎研究が担うようになると感じています。この点から考えても、大学で研究を行っている者として、基礎研究の実験系についてもっと検討を進めていく必要があると強く感じました。また、この会場で、急性血液浄化領域の学会でいろいろ議論させていただいた方と、とっても久しぶりに再会できとっても嬉しい気持ちになりました。やっぱり、学会はいいですね。

また、夕方から一般演題として、「有効血流量の増加を目的とした圧縮駆動式single needle dialysisの開発とその吐出特性評価」について発表しました。

この研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の橋渡し研究戦略的推進プログラムに採択された研究課題であり、1本の穿刺針で脱返血を行うsingle needle透析における従来の問題点である実血流量ならびに透析効率の限界性を改善することを目的に研究しています。今回の研究は、昨年度、市販品のピストンポンプを用いて実験を行った結果をまとめたものであり最大血流量は74ml/minしか確保できず、残念ながら従来の SNDの性能を超えることができませんでした。しかし、この研究をもとに、実血流量を増加させるための課題が明確になり、現在、新しく設計したポンプをもとにデータ収集ならびに至適稼働条件の検討を行っています。今回の発表はこのように性能的にはあまりいい結果ではありませんでしたが、会場からは数多くの質問があり、今回の研究の手応えを十分に感じることができました。

こうして、私の発表並びに座長は1日目で完了しました。第28回日本臨床工学会の2日目についてのご報告は別の機会に書きたいと思います。

(文責:小野淳一)

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