第65回日本透析医学会学術集会にて、「透析回路静脈圧波形情報を用いた抜針事故検知法について 」について発表を行いました。

 2020年11月2日に、第65回日本透析医学会学術集会のシンポジウム5 高齢者透析患者に対する臨床工学技士の役割にて、「透析回路静脈圧波形情報を用いた抜針事故検知法について 」について発表を行いました。今年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、WEB開催となりました。
 しかし、シンポジウム等の主要演題は、大阪の収録用会場にて、演者と座長のみの環境で発表することになりました。この発表では、9期生の中村光くんの研究から始まった研究テーマであり、その後、平成29年度日本透析医会公募研究助成を受けて、さらに、研究を進めてきた内容について発表しました。


透析回路静脈圧波形情報を用いた抜針事故検知法について

 透析施行中の抜針事故は重篤な事故になりやすく、かつ、認知症患者や意識障害の患者が多いことから,透析患者の高齢化や認知機能の低下に伴い,より重要な課題になると考える.最も普及している抜針事故検知法である静脈圧監視法は,血流量の少ない表在静脈に送血側穿刺針を穿刺した場合には血管内圧自体が低いため,抜針時における静脈圧の低下幅が少なく抜針の検知に限界がある.この対策として,静脈圧低下幅の警報設定値を低く設定することが有用であるが,脱血不良による誤検知が問題となる.
 本研究では透析回路静脈圧の波形解析を用いた新しい抜針検知法を考案し,その有用性を検討した.その結果、静脈圧波形の傾斜(Pressure-waveform slope: PWS:PWS)は脱血不良による誤検知を防止できるとともに、PWSの変動は模擬血管の拍動成分を反映することから抜針による静脈圧の低下が軽微な場合においても抜針検知が可能と考えられる。


 この発表では、川崎医療福祉大学の卒業生が行った静脈圧監視による抜針検知の課題に関する研究成果を引用したことろ、その後のWeb開催にてこの発表をみていただき、丁寧な連絡をいただくことができました。
教員として、臨床工学技士の養成に携わるものとして、素晴らしい研究成果を引用させて紹介させていただくこと、また、その反応が本人から直接連絡があったことからとっても素晴らしい体験でした。

 改めて、臨床工学技士の養成教員として、また、研究者として、引き続き、頑張っていきたいと感じた次第です。

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